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4月21日 答弁書:内閣衆質193第223号 仲里利信:教育勅語の道徳教育


第193回国会 223 教育勅語を道徳教育に用いようとする動きに関する質問主意書

4.18内閣衆質一九三第二二三号 


質問主意書:平成二十九年四月十一日提出質問第二二三号  仲里利信

答弁書:平成二十九年四月二十一日受領 答弁第二二三号



教育勅語を道徳教育に用いようとする動きに関する質問主意書

 教育勅語を学校教材に使うことを容認した政府答弁書が示され、衆議院及び参議院での教育勅語の排除等決議や憲法に反した政府の恣意的な動きが顕著となっている。このような取り組みは明らかに戦前回帰の無謀な行為であり、断じて容認できるものではない。
 そこで以下お尋ねする。

一 教育基本法や学校教育法、同法施行規則、学習指導要領、義務教育諸学校等で定める目的や理念、目標、基準等に基づき、道徳教育はどのようにあるべき か、そしてそのためにはどのような教材を使うべきか、どのように子供たちに教えるべきか、などについて政府の認識と見解を答えられたい。

答弁書
一について
 お尋ねの「道徳教育はどのようにあるべきか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、平成二十七年文部科学省告示第六十号による改正後の小学校学習指導要領 (平成二十年文部科学省告示第二十七号)及び平成二十七年文部科学省告示第六十一号による改正後の中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八 号)において、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)の目標については、「道徳教育の目標に基づき、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養 うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断 力、心情、実践意欲と態度を育てる」等とされ、道徳科で使用する教材については、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)等の法令に従うとともに、児童生 徒の発達の段階に即し、「ねらいを達成するのにふさわしいものであること」等の観点に照らし適切と判断されるものとされている。また、道徳科の指導につい ては、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を図ることなどにより、発達の段階に即し、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児童生徒 が自分自身の問題と捉え、向き合うよう指導することが重要であると考えている。



二 全国の義務教育諸学校等において、戦前・戦中の教育勅語を道徳の教材として使用している状況について政府の承知するところを明らかにした上で、教育勅 語を道徳教材として用いること並びにその他の教科において何らかの形で用いることの是非について政府の見解を答えられたい。

五 報道によれば、菅義偉官房長官は教育勅語を教材で使うことについて「憲法や教育基本法に反しないような適切な配慮のもとで取り扱うことまで、あえて否 定すべきではない」と述べたとのことである。しかし、一体教育勅語の何が憲法や教育基本法に反しないとするのか、適切な配慮とは一体如何なるものなのか、 その真意と内容について政府の認識と見解を答えられたい。

七 質問六に関連して、我が国憲法に明らかに反する教育勅語を朗読させたり、正しいものとして教えたりすることは、我が国憲法に基づく自由民主主義の政治システムや国民主権と相いれないものであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

八 質問六及び七に関連して、教育勅語に対する衆議院での排除決議や、参議院での失効確認決議が行われた趣旨とその内容、さらには我が国憲法との整合性に 鑑みるならば、松野大臣及び菅官房長官の説明は極めて不適切であり、政府として、今後いかなる形であれ教育勅語を教育現場で用いるべきではないことを明確 に宣言すべきであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

答弁書
二、五、七及び八について
 学校における教科用図書以外の教材の使用については、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三十四条第二項等の規定に基づき、教科用図書以外の教 材で有益適切なものは使用することができることとされており、文部科学省が各都道府県教育委員会等宛てに発出した「学校における補助教材の適正な取扱いに ついて」(平成二十七年三月四日付け二十六文科初第千二百五十七号文部科学省初等中等教育局長通知)において示した教育基本法等の趣旨に従っていること等 の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校の設置者の責任と判断で使用できることとなっており、その使用状況については、政府が一律に把 握する仕組みとなっていない。
 また、お尋ねの「教育勅語の何が憲法や教育基本法に反しないとするのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、教育に関する勅語を教育において 用いることが憲法や教育基本法等に違反するか否かについては、まずは、学校の設置者や所轄庁において、教育を受ける者の心身の発達等の個別具体的な状況に 即して、国民主権等の憲法の基本理念や教育基本法の定める教育の目的等に反しないような適切な配慮がなされているか等の様々な事情を総合的に考慮して判断 されるべきものであるが、教育に関する勅語を、これが教育における唯一の根本として位置付けられていた戦前の教育において用いられていたような形で、教育 に用いることは不適切であると考えている。




三 報道によれば、松野博一文部科学大臣は「教育勅語を道徳教材に用いることを肯定したものでも否定したものでもない」とか「私の発言は道徳に限定される ものではなく、すべての教科などの教材に共通する考え方を述べたもの」等としたとのことである。しかし、松野大臣のこのような「否定も肯定もしない」との 説明は、学校教育に対する姿勢や理念を明らかにしようとしないものであり、所管大臣としての資質が疑われるものであるが、政府の認識と見解を答えられた い。
四 質問三に関連して、松野大臣の答弁は、教育勅語に対する衆議院での排除決議や、参議院での失効確認決議という国権の最高機関である国会の決議に反するものであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

答弁書
三及び四について
 御指摘の松野文部科学大臣の答弁等については、二、五、七及び八についてでお答えしたとおりの趣旨で述べたものであって、従来からの政府の見解と同じであり、「国会の決議に反するもの」との御指摘は当たらないものと考えている。



六 質問五に関連して、教育勅語では、その前段で父母への孝行、夫婦・兄弟姉妹との和、友人との信義等を列挙し、天皇が国民に臣民としてのあるべき道を示 し、事ある時には一身を捧げて「皇室国家」の為に尽くせと義務付けているわけであるが、このような個人の生活にまで天皇が指図することは、我が国憲法の国 民主権や基本的人権を著しく損なうものであると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。

答弁書
六について
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、教育に関する勅語については、昭和二十三年六月十九日の衆議院本会議の「教育勅語等排除に関する決議」におい て、「教育勅語(中略)の根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととな る。よつて憲法第九十八条の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する」と決議され、ま た、同日の参議院本会議の「教育勅語等の失効確認に関する決議」において、「われらは、さきに日本国憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、 わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、真理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果 として、教育勅語は・・・既に廃止せられその効力を失つている」と決議されたと承知しているところ、政府としては、森戸文部大臣(当時)が、同日の衆議院 本会議等において、「敗戦後の日本は、国民教育の指導理念として民主主義と平和主義とを高く掲げましたが、同時に、これと矛盾せる教育勅語・・・に対しま しては、教育上の指導原理たる性格を否定してきたのであります。このことは、新憲法の制定、それに基く教育基本法並びに学校教育法の制定によつて、法制上 明確にされました」等と答弁しているとおりであると考えている。



九 近年、我が国では、教育勅語を幼稚園で暗唱させたり、そのような教育方針を評価する声が取り上げられたり、挙句の果てには教育勅語を学校教材として使 うことを否定しないとする答弁書が閣議決定されたりするなどしている。このような動きは戦前への回帰を目指しているのではないかと思われ、まことに嘆かわ しい風潮であると思われるが、政府の認識と見解を答えられたい。
十 識者によれば、学校教育とは、子供たちが自分自身で物事を判断できるようにするための材料を提供する場であり、教えてよい話とそうでない話をきちんと 分けて行うべきであるとのことである。本職も識者のそのような考えを強く支持するものであり、そのような考えに立つならば、表現の自由の名の下に、為政者 の恣意的な判断で憲法に反した教育勅語を学校教材として用いるべきではないし、その内容を教えるべきではないと思われるが、政府の認識と見解を答えられた い。
十一 本職は、多くの住民が巻き添えとなった沖縄戦の体験者として、再び悲惨な戦争を繰り返さず、尊い人命が失われることがないようにすることを切に願う ものである。また、日本軍の軍命による住民の集団強制自決や、中高校生で組織された鉄血勤皇隊・女子学徒の戦争動員等のような悲劇が二度と引き起こされる ことがないことも願うものである。そして、そのためにも無謀な戦争へひたすら駆り立てていった戦前の国家主義や、それと結びついた皇民化教育と道徳主義、 さらにはそれらの根源となった教育勅語を純真無垢な子供たちに教え込むようなことは決して行うべきことでないと考えるが、政府の認識と見解を答えられた い。

答弁書
九から十一までについて
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることが困難であるが、教育に関する勅語を教育において用いることについては、二、五、七及び八に ついてでお答えしたとおりであり、いずれにせよ、政府としては、教育の場における教育に関する勅語の活用を促す考えはない。





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