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9月1日 首相官邸広報室から東京新聞への抗議


8月25日の菅官房長官会見での東京新聞記者の質問について、首相官邸広報室が東京新聞に対して注意をしたことが9月1日に産経新聞によって報道されました。本稿はこの問題を取り扱います。

結論から述べると、8月25日の東京新聞の記者の質問を、「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は断じて許容できない」として文書で注意をしていますが、①「設置認可保留」という事実は8月9日段階から広く報道されている事実であること(2-1参照)、②この質問と同日の8月25日に文科省が正式に公表しており(午後2時段階から各社一斉に報道している)事実関係としてなんら齟齬もないこと(2-2参照)からしても、何に対して抗議しているのか理解に苦しむといわざるを得ません。更に言えば、「国民に誤解を生じさせるような事態」はどこにも生じません。
私の目からは、単なる嫌がらせにしか見えない一件です。


目次
1、8月25日会見と9月1日の首相官邸広報室の注意
 1-1 8月25日の官房長官会見(該当箇所)
 1-2 首相官邸広報室からの注意文書(9月1日)
2、事実関係
 2-1 答申保留ということは8月9日段階から報道されていた
 2-2 8月25日に「正式に」答申保留が公表されている
3、本件の報道:9月1日の産経報道等





1、8月25日会見と9月1日の首相官邸広報室の注意
1-1 8月25日 午前の官房長官会見(恐らく11時半~12時頃)




(該当部分文字起こしは後掲)



1-2 首相官邸広報室からの注意文書(9月1日)


                                平成29年9月1日

東京新聞政治部次長(官邸キャップ)
 篠ケ瀬祐司様

                         内閣官房 総理大臣官邸報道室長
                                  上村 秀紀

 本年8月25日午前の菅内閣官房長官記者会見において、貴社の記者が質疑の中で、平成30年度開設の大学等についての大学設置-学校法人審議会の答申に関する内容に言及しました。

 言及があった内容は、正式決定・発表前の時点のものであり、文部科学省としては、官房長官記者会見という公の場において言及することは、当該質疑に基づく報道に至らなかったとはいえ、事前の報道と同一のものとみなし得る行為であり誠に遺憾であるとして、文部科学広報宮から貴社に対し、文書にて再発防止の徹底を求めたと承知しています。

 また、上記の件は、官房長官配者会見の場で起きたことであるため、文部科学省広報室から当室に対し、当室から内閣記者会駐在の貴社の記者に注意喚起を行うよう要請がありました。

 正式決定・発表前の時点での情報の非公表は、正確かつ公正な報道を担保するものです。官房長官記者会見において、未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は、当室としては断じて許容出来ません。貴社に対しで再発防止の徹底を強く要請いたします。



8月25日(金)官房長官会見
○ 記者
 最近になって公開されています加計学園の設肝図、今治市に出す獣医学部の設計図52枚程公開をされました。それを見ましても、バイオセキュリティの危機管理ができるような設計体制になっているかは極めて疑問だという声も出ております。また、単価自体も通常の倍ぐらいあるんじゃないかという指摘も専門家の方から出ています。こういう点を踏まえましても、今回学校の認可の保留という決定が出ました。本当に特区のワーキンググループ、そして政府の内閣府がしっかりとした学園の実態を鯛査していたのかどうか、ここについて今、政府としでの御見解をお聞かせぐださい。
○ 官房長官
 いずれにしろ、学部の設置認可については、昨年11月及び本年4月の文部科学大臣から大学設置学校法人の審議会に諮問しており、間もなく答甲が得られる見込みであると聞いており、今の段階で答えるべきじゃないというふうに思いますし、この審議会というのは、専門的な観点から公平公正に審査している、こういうふうに思っています。


※「政府インターネットテレビ」より、該当部分を聞き起こし。




20170901首相官邸広報室抗議 (1)
 


20170901首相官邸広報室抗議 (2)
 





2、事実関係
2-1 答申保留ということは8月9日段階から報道されていた

(1)朝日
朝日新聞「加計学園の獣医学部新設、判断保留へ 文科省審議会

加計学園の獣医学部新設、判断保留へ 文科省審議会
2017年8月10日00時19分
大学や学部の新設の可否を審査する文部科学省の「大学設置・学校法人審議会」は9日学校法人「加計学園」が求めていた来年4月からの獣医学部の新設について、当面、判断を保留する方針を固めた。(以下略)



(2)産経
産経「【加計学園問題】加計獣医学部、認可判断保留へ 設置審、文科相答申延期へ

2017.8.10 00:58更新
加計獣医学部、認可判断保留へ 設置審、文科相答申延期へ
 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐり、同学園が来年4月に愛媛県今治市で開学を目指す獣医学部設置の認可申請を審査する文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)の非公開会合が9日開かれ、獣医師養成に向けた教育環境に課題があるとして、認可の判断を保留する方針を決めた。設置審は今月下旬に林芳正文科相に答申する予定だったが、延期される見通しとなった。(以下略)



(3)日テレ
日テレNEWS24「加計“認可保留”今治市長、今後に期待

加計“認可保留”今治市長、今後に期待
2017年8月10日 17:14
 加計学園の獣医学部新設を審査していた文部科学省の審議会が9日今月末に予定していた認可の判断を「保留」し、引き続き審議する方針を決めた。(以下略)



(4)時事通信
時事ドットコム「加計獣医学部、判断保留へ=認可可否10月以降に-設置審

加計獣医学部、判断保留へ=認可可否10月以降に-設置審
 学校法人加計学園(岡山市)による獣医学部新設の申請について、大学設置・学校法人審議会は10日までに、認可の判断を保留する方針を固めた。(略)
 関係者によると、設置審は9日の非公開の会合で判断保留の方針を決めた。今後、学園に申請内容の修正を求め、改めて来年4月の開学の可否を判断する。(2017/08/10-11:44)






2-2 8月25日に「正式に」答申保留が公表されている

文部科学省「平成30年度開設予定の大学の学部の設置等に係る答申について(平成29年8月25日)
「平成30年度開設予定大学等保留・申請取下げ一覧」(PDF)より抜粋
20170825平成30年度開設予定大学等保留・申請取下げ一覧


(1)日経新聞
日本経済新聞「加計の獣医学部新設「保留」 文科省審、10月下旬に判断延期

加計の獣医学部新設「保留」 文科省審、10月下旬に判断延期
2017/8/25 14:00
 来年4月新設予定の大学、学部などについて審査していた文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)は25日、答申をまとめた。学校法人「加計学園」(岡山市)が申請していた獣医学部の新設計画の是非に関しては答申に含めず「審査継続(保留)」とした。教育体制などに不十分な点があったとみられる。設置審は修正された申請内容を審査し、改めて新設の可否を判断。10月下旬にも答申する。(以下略)



(2)産経
産経ニュース「加計学園の獣医学部新設認可、答申「保留」 教育環境に課題 文科省審議会

2017.8.25 14:02更新
加計学園の獣医学部新設認可、答申「保留」 教育環境に課題 文科省審議会
 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画について、認可するかどうかを審議している文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)は25日、林芳正文部科学相への答申を保留した。(以下略)



(3)毎日新聞
毎日新聞「加計学園:獣医学部新設の判断保留 大学設置審議会

獣医学部新設の判断保留 大学設置審議会
毎日新聞2017年8月25日 14時03分
 文部科学省は25日、学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設を認可するかどうかを審査している大学設置・学校法人審議会が、8月に予定されていた判断を保留すると正式に発表した。(以下略)







3、本件についての報道
(1)産経
産経「首相官邸広報室、東京新聞に注意 菅義偉官房長官会見での社会部記者の質問めぐり

2017.9.1 23:48更新
首相官邸広報室、東京新聞に注意 菅義偉官房長官会見での社会部記者の質問めぐり
 首相官邸報道室は1日、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画をめぐり、8月25日の菅義偉官房長官の記者会見で、東京新聞記者の質問に不適切な点があったとして書面で東京新聞に注意を喚起した。
(略)「(計画に対する)認可の保留という決定が出た」と言及した。
 獣医学部の新設計画は大学設置・学校法人審議会が審査し、答申を受けた文部科学省が認可の判断を決めるが、この時点ではまだ公表されていなかった。(以下略)




(2)リテラ
リテラ「安倍官邸が東京新聞と望月記者に不当抗議! 菅官房長官への厳しい質問封じを狙い撃ちした卑劣な言論弾圧を許すな」

安倍官邸が東京新聞と望月記者に不当抗議! 菅官房長官への厳しい質問封じを狙い撃ちした卑劣な言論弾圧を許すな
2017.09.02
(略)
官邸の注意喚起は、東京新聞・望月記者の口封じが目的
(略)
 つまり、設置審の判断はすでに広く事実として報じられてきたのに、官邸は25日午前の会見の段階では文科省がまだ正式に公表していなかったことだけをもって「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答」などと非難しているのだ。
 こんなバカな話があるだろうか。設置審が認可保留としたことは「未確定な事実」でも「単なる憶測」でもまったくない。いや、官邸の主張を認めれば、それが事実でも正式発表があるまでは質問できないということになる。
 これは明白に「報道の自由」に対する圧力であり、断固として許されるものではない。全メディアは官邸に抗議をおこなうべきだし、無批判に官邸情報そのままに伝える産経新聞には恥を知れと言うほかない。
 いや、そもそも「未確定な事実」や「単なる憶測」と言って質問を封じるということ自体がおかしい。この官邸の言い分がまかり通れば、独自で掴んだ情報も「未確定な事実」や「単なる憶測」とされ、政府が認めていることしか追及できないということになってしまうからだ。実際、望月記者が登場するまえの、菅官房長官と官邸記者クラブの会見はそうだった。
 しかも、今回の官邸の行動がもっとも悪質なのは、東京新聞の望月記者をターゲットにし、望月記者を黙らせる目的なのがあきらかであることだ。
(以下略)





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森友・加計問題に関する安倍答弁を文字起こし。
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関連する質問主意書と答弁書は網羅。
加計学園に関連する国家戦略特区の議事録(議事要旨)も網羅。
文科省文書も掲載。
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